こどものVR利用に関する安全性への配慮

最終更新: 2021年2月15日

日本では、3D映像を用いたVRの視聴について、子どもの視覚への影響を懸念する声が強い。
当社は子どもの安全を重視する観点から、子供に対するVRコンテンツの活用時には2Dコンテンツを採用した。

懸念の背景には、

  • 「6歳までの小児は立体視の発達過程であり、個人差もある」という事実
  • 4歳11カ月の子供が3D映画(赤青メガネを装着して視聴する、アナグリフという立体映像技術を用いた動画)を視聴した後に内斜視を発症した1例の症例報告(1988年)*1

がある。

2018年1月に一般社団法人ロケーションベースVR協会が発表した、両眼立体視機器を利用した施設向けVRコンテンツに関する「VRコンテンツのご利用年齢に関するガイドライン」にも「7歳未満のこどもは利用させない」と明記されている。*2

一方、2017年にEuropean Cooperation in Science & Technology (COST)等が発表した、子どものVR利用の安全性に関する報告書(Children and Virtual Reality: Emerging Possibilities and Challenges)*3では、元々両眼協調が不安定な一部の児童には立体視力への悪影響が懸念されるという結果であった。

3D映像を用いたVR視聴の留意点として、

  • 眼科的疾患の病歴(遠視や斜視、等)がない児童に利用を制限
  • 投影スピードは最低でも60FPS(映像遅延によるVR酔いを防ぐ)
  • 視聴時間の制限(当該研究の視聴時間は20分)

等が挙げられている。

こういった認識を背景に、3D映像を用いた医療VRの臨床試験では4歳の子どもも被験者に組み入れている。子どもの3D映像のVR視聴については、更に新たな知見が蓄積されていくと思われる。